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医療保険制度 1号

「協会けんぽ」
1.公的医療保険の各制度

我が国の医療保険制度は、大きく分けると全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)、健康保険組合健康保険(組合健保)、共済組合健康保険(共済健保)と国民健康保険(国保)に分けられます(協会けんぽ、組合健保、共済健保を被用者健康保険という)。
協会けんぽは、従前は政府管掌健康保険(政管健保)として社会保険庁が運営してきたもので、社会保険庁解体に伴い新たに2008年10月に設立された全国健康保険協会により運営されています。主に中小企業の従業員が被保険者、その家族(配偶者や子供など従業員によって生計を維持されている家族)が被扶養者として加入しています。政管健保のときは、全国を1つの組織として運営されてきましたが、協会健保になってからは全国1つの運営組織ではなく都道府県単位で財政運営を行うようになっています。そのため、今まで全国一律であった保険料率が、平成21年9月分より都道府県単位の保険料率に移行されています。なお、平成22年3月分保険料より各都道府県とも1%を超える保険料率のアップとなっています。
 組合健保は、主に大企業の従業員が被保険者、その家族(協会けんぽと同じ)が被扶養者として加入しています。組合健保は企業ごとに組織され運営されており、○○産業株式会社健康保険組合などの名称がついています。規模は大小さまざまで、また財政状況も各組合によって差が生じています。昨今、財政状況の悪化を理由に解散し、協会けんぽに吸収されるケースも出てきています。
 共済健保は、国家公務員に関する共済組合、地方公務員に関する共済組合、私学共済組合があり、公務員など本人が被保険者、その被扶養者が加入しています。
 国保は、自営業者、農林水産業従事者などが加入するもので、市町村及び特別区が運営する市町村国保と理髪業、建設業、医師などの事業者が国民健康保険組合を組織し、運営する組合国保とがあります。
ここのところメール発信が滞っておりましたが、CS労研「健康保険制度」10号及び11号をホームページにアップしました。

2.高齢者医療制度

高齢者向けの医療制度として、以前は退職者医療制度と老人保健制度がありました。これらは、組合健保、共済健保、政管健保(現協会けんぽ)の各被用者健康保険と国保の間の医療費負担を調整するための仕組みとして設けられた制度です。
例えば、被用者健康保険に加入していたサラリーマンや公務員は定年退職後、国保へと医療保険を切り替えていきます。その結果、高齢者の多くは国保加入者ということになります。この高齢者の大量流入により国保の負担は増大し、財政状況は悪化していきます。そのため、国保の財政負担を軽減することを目的として昭和58年に老人保健制度、昭和59年に退職者医療制度が設立され、各被用者保険から国保へ老健拠出金という形での資金援助がおこなわれるようになりました。
老人保健制度の対象者は、75歳以上の高齢者、退職者保険制度の対象者は74歳以下の所定の要件を満たした被用者保険に加入していた退職者ですが、これらの制度が平成20年4月より全面改正され後期高齢者医療制度、前期高齢者医療制度として新に発足しました。