医療保険制度 4号
「協会けんぽ」つづき
4.任意継続被保険者について
③ 任意継続被保険者
健康保険制度の中で、唯一個人の任意加入を認めている制度を任意継続被保険者制度といいます。これは、適用事業所に雇用される被保険者が退職等により被保険者資格を喪失した場合で、資格喪失の前日まで継続して2ヶ月以上の被保険者期間があれば、資格喪失をした日から2年間を限度に被保険者となれる制度です。
退職等により被保険者資格を喪失した者(喪失の前日まで継続して2ヶ月以上被保険者であった者に限る)で任意継続被保険者資格の取得を希望する者は住居地を所轄する協会けんぽの各都道府県支部(組合健保の場合は、資格喪失した組合健保)に任意継続被保険者資格取得申請書を提出することにより、被保険者となることができます。ただし、この申請は資格喪失した日から20日以内にしなければなりません。これを過ぎると、基本的に被保険者になることはできませんから注意が必要です。
任意継続被保険者の保険料は、資格喪失した際の標準報酬月額、又は28万円(H22.12.1現在)のいずれか低い額に各都道府県の保険料率を乗じた額で、全額本人負担となります。
また、任意継続被保険者の保険料は、送付されてくる納付書により毎月10日までに納付しなければなりません。これを過ぎると自動的に資格喪失となりますから、これも要注意です。したがって、保険料の前納制度を利用されることをお勧めします。
このように、任意継続被保険者は、退職前の一般被保険者と異なり、資格取得および保険料の納付を自らの責任で行わなければならない制度で、資格取得、保険料納付については特に厳格な対応がされています。
また、任意継続被保険者の資格喪失は、先に述べたように毎月10日までに保険料を納付しなかった場合、任意継続被保険者の資格取得をした日から2年間を経過した場合、死亡した場合、就職し健康保険等の被保険者になった場合、後期高齢者医療の被保険者になった場合等で、自動的に資格喪失となりますから、特に手続きをする必要はありません。ただし、被保険者カードは所轄の協会けんぽ都道府県支部まで返却して下さい。
任意継続被保険者の保険給付については、傷病手当金と出産手当金がない以外は一般の被保険者と同じ内容になっています(傷病手当金と出産手当金については、所定の要件を満たした場合に限り継続療養として給付されます)。
④ 被保険者期間と保険料
健康保険の被保険者資格は、その業務に使用されるに至った日、つまり事業所に入社した日に資格取得し、退職日(死亡した場合は死亡した日)の翌日に資格喪失します。
健康保険料は、被保険者資格を取得した日の属する月から被保険者資格を喪失した日の属する月の前月分までの各月単位で、標準報酬月額に保険料率を乗じて算出された金額を徴収することになります。
例えば、平成22年4月1日に入社し、その日に資格取得します。そして、その者が平成22年10月15日に退職した場合、退職日の翌日(10月16日)が資格喪失日になります。つまり資格取得した日の属する月(H22.4)から資格喪失した日の属する月の前月(H22.9)までの各月分の保険料を納付することになります。退職日が平成22年10月31日(月末の日)の場合、喪失日は翌日の11月1日になりますから、この場合は喪失日の属する月(11月)の前月、10月分の保険料を徴収する必要があります。
つまり、退職日が1日から月末の日の前日までにある場合は、当月喪失として退職月の保険料を徴収する必要はありませんが、末日の退職の場合、翌月喪失となり、退職月の保険料を徴収する必要があります。
ただし、資格取得した月と喪失した日の属する月が同年同月の場合、この月については保険料を徴収する必要があります。例えば、平成22年4月1日に入社し、その日に資格取得した者が、同月15日に退職したとき(喪失日は4月16日)のように資格取得日と資格喪失日が同じ月に属する場合は、1ヶ月分の保険料の徴収が必要になります。
なお、協会けんぽの保険料率は医療費の地域差を反映し設定されていて、都道府県ごとに異なっており、平成22年3月分より保険料率は全国平均8.2%から9.34%へと大幅に引き上げられています。