医療保険制度(健康保険制度) 8号
「協会けんぽ」つづき
8. 保険給付
健康保険からの被保険者に係る保険給付の内容は、以下の通りです。
① 療養の給付
② 入院時食事療養費
③ 入院時生活療養費
④ 保険外併用療養費
④ 療養費
⑤ 訪問看護療養費
⑥ 移送費の支給
⑦ 傷病手当金の支給
⑧ 埋葬料の支給
⑨ 出産育児一時金の支給
⑩ 出産手当金の支給
⑪ 家族療養費、家族訪問看護療養費および家族移送費の支給
⑫ 家族埋葬料の支給
⑬ 家族出産育児一時金の支給
⑭ 高額療養費および高額介護合算療養費の支給
① 療養の給付
療養の給付は、健康保険の被保険者が業務以外の事由による疾病や負傷に対し、保険医療機関・保険薬局等により被保険者に対して直接療養を与える現物支給として行われる給付で、その範囲は以下の通りです。
1.診察
2.薬剤または治療剤料の支給
3.処置・手術その他の治療
4.在宅で療養する上での管理、その療養のための世話、その他看護
5.病院・診療所への入院、その治療のための世話、その他の看護
保険医療機関とは、厚生局長の指定を受けた病院・診療所であり、保険薬局とは地方厚生局長から指定を受けた薬局で、健康保険ではこれらが療養の給付を行う仕組みになっています。
療養の給付に対し、70歳未満の被保険者はかかった医療費の3割を、70歳以上75歳未満の被保険者は2割(平成23年3月31日までは1割)を一部負担金として医療機関の窓口で支払います(ただし、現役並み所得者は3割)。現役並み所得者とは標準報酬月額28万円以上の被保険者(単身世帯で年収383万円、夫婦世帯で520万円未満である場合は除く)が該当します。
また、最近、院外処方箋薬局が多くなってきていますが、医師から処方箋をもらった場合は、保険薬局で療養の給付として薬剤の調剤をしてもらえます。
療養の給付は、保険医療機関となっている病院・診療所に「被保険者カード」を提出することにより受けることができます。この際70歳以上75歳未満の被保険者は「高齢受給者証」も同時に提出しなければなりません。また、療養の給付は、その疾病や負傷が治るまで受けることができます。
また、保険医療機関等の窓口で支払う一部負担金が多額となった場合、本人の申請による高額療養費が支給されるまでの間、当座の支払いに充てるため資金を貸し付ける制度が設けられており、協会けんぽの場合は、高額療養費の支給見込み額の80%を上限に無利子で貸し付けられます。
② 入院時食事療養費
入院時食事療養費は、被保険者が病気やケガで保険医療機関に入院したときに療養の給付とあわせて給付されるものです。
入院中の食事の費用は、健康保険から給付される入院時食事療養費と、入院している被保険者が支払う標準負担額でまかなわれています。入院時食事療養費の額は、厚生労働大臣が定める基準に従って算出した額から、平均的な家計における食事を勘案して厚生労働大臣が定める標準負担額を差し引いた額となっています。入院した被保険者は、この標準負担額を保険医療機関の窓口で支払えばよいことになります。
標準負担額は、1食につき260円となっていますが、住民税非課税世帯等は210円、住民税非課税世帯に属し、且つ所得が一定の基準以下の70歳以上の高齢受給者は100円などとなっています。
次号へつづく.....