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労務管理の基礎知識 第4号
「休憩」(労働基準法第34条)
休憩時間とは、労働者が心身の疲労を回復させるために1日の労働時間の途中に与えられる労働から解放される時間をいいます。
労働時間中に休憩を取らずに長時間労働を続ければ、誰でも疲労して作業能力や集中力、注意力が低下することはいうまでもありません。特に、集中力や注意力が低下すれば、重大な事故に結びつく可能性もあります。
そのために、企業には休憩時間を1日の労働時間の途中に与える義務が課せられています。
労働基準法第34条でいう休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間ですから、手待ち時間など単に作業に従事しない時間は含みません。
付与すべき休憩時間の長さは、1日の労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上とされています(したがって、6時間以内の場合、労働基準法上休憩は与えなくても構いません)。また、休憩時間は就労中に一時的に疲労を回復させる目的で与えるものですから、始業から終業までの間に与えなければなりません。
1日の所定労働時間が6時間を超え8時間以内であり、通常は休憩時間が45分となっている事業場の場合、残業などでその日の実労働時間が8時間を超えるときには、その日の終業までに別途15分以上の休憩を与えるなどして、合計で1時間以上の休憩を与えなければなりません。
なお、休憩時間の付与にあたっては、2つの原則があります。
一つは、休憩時間は事業場内で働く全ての労働者に一斉に与えなければならないことです。これは、「一斉休憩の原則」と呼ばれており、企業は当該事業場に使用される全ての労働者に同じ時間帯で一斉に休憩時間を与えなければならないことになっています。
ただし、労働基準法別表第1第4号(運輸交通業)、第8号(商業)、第9号(金融・広告業)、第10号(映画・演劇業)、第11号(通信業)、第13号(保健衛生業)、第14号(接客娯楽業)、官公署(同表に掲げる事業を除く)については、一斉休憩の原則は適用されません。
このほか、労働基準法別表第1第6号(農業)、第7号(畜産・水産業)に従事する者(第6号のうち林業従事者は除かれる)、労働基準法第41条第2号(管理・監督者および機密の事務を取り扱う者)、同条第3号(所轄労働基準監督署長の許可を得て行う監視・断続労働に従事する者)に従事する者も一斉休憩の原則はされません(なお、これらの者には休憩に関する規定そのものが適用除外になっています)。
また、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には事業場の労働者の過半数を代表する者との労使協定があるときは、一斉休憩の原則は適用されません。
もう一つは、休憩時間は労働者が自由に利用できる時間でなければならないことです。
これは休憩時間の「自由利用の原則」と呼ばれています。
つまり、そもそも休憩時間は、労働者が権利として労働から解放される時間ですから、その時間が当然自由に利用できるものでなければならないというわけです。 ただし、いくら自由に利用できるといっても労働時間の途中に組み込まれる時間である以上、企業から一定の拘束を受けることはやむを得ません。そのため、企業が休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的をそこなわない限り差支えないとされています(昭22.9.13 発基17号)。例えば、休憩時間の外出について、所属長の許可を受けさせることについて「事業場内において自由に休憩し得る場合には、必ずしも違法にならない」とした解釈例規(昭23.10.30 基発1575号)が示されています。